本研究では、電気泳動法によりチタン系(CS_xTi_<2-x/4>□_<x/4>O_4)およびニオブ系層状酸化物(K_4Nb_6O_<17>)薄膜を種々の導電性基板上に固定し、電気化学測定によって、特性評価を行った。従来のCVDやPVDなどの気相法を利用した薄膜作製法で層状化合物の薄膜を作成することは不可能である。Cs_xTi_<2-x/4>□_<x/4>O_4粉末をメタノール溶媒中で電気泳動法で薄膜化すると、カソード極側には、Cs_xTi_<2-x/4>□_<x/4>O_4薄膜が析出し、アノード側には層間にCs^+イオンが存在しないH_xTi_<2-x/4>□_<x/4>O_4・H_2O薄膜が析出することが分かった。これは、メタノール溶媒中では、層間にメタノール分子が取り込まれることによって、層の剥離が生じ、負に帯電したチタン酸のシートがカソード側に析出したものと考えられる。 また、電気泳動法によりK_4Nb_6O_<17>膜をPt基板上に作製することができ、正極および負極で水和物と無水和物がそれぞれ析出することが分かった。これらの電気泳動法で作製した薄膜はb軸方向に高い配向性を示した。 K_4Nb_6O_<17>膜は光照射に伴い酸化高電流が生じるのでn型半導体的挙動を示すことが分かった。また、光酸化反応は層間で起こっていることが電気化学測定及び構造解析から示唆された。 よって、本研究では、予め層状構造を有する化合物を作製し、それらを配向性良く基板上に析出させることで層状無機薄膜の作製ができることを示した。
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