研究課題/領域番号 |
11750775
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
黒木 重樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30293046)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ^<17>O核NMR法 / ^1H磁場勾配NMR法 / ポリビニルアルコール / 高分子ゲル / リゾチーム / 化学シフト / スピンー格子緩和時間T_1 / 拡散係数 / ^<17>O-NMR法 / PVAゲル / 水の構造 / スピン-格子緩和時間 |
研究概要 |
^<17>O核、および^1H磁場勾配NMR法を中心とした様々なNMRの手法を通じて高分子(タンパク質も含む)-水(他の溶媒も含む)相互作用を理解する方法論を開発し、既存の研究とは異なった観点から水の構造とダイナミックスを明らかにし、高分子(タンパク質も含む)-水系の、高分子-水、水-水相互作用を直接的かつ精密に解析する。 本年度は(1)PVAを化学架橋したゲルを合成し、化学架橋PVAゲル中の水の構造およびダイナミックスを^<17>ONMR法を利用して広い温度範囲で解析した。20%^<17>OラベルH_2Oを用いて架橋度の異なるPVAゲルを合成し、その^<17>ONMRスペクトルを広い温度範囲(-50℃〜80℃)で測定した。その結果、架橋度が高くなるほど^<17>ONMR化学シフトは低磁場にシフトし、スピンー格子緩和時間T_1は小さくなった。これは、架橋度の高いゲルほど水分子間及び水分子とPVAのOH基との間に多くの水素結合が形成されていること、それによって水分子の運動性が低くなっていることがわかった。また、(2)タンパク質としてリゾチームを用いリゾチームと相互作用している水の構造およびダイナミックスを^<17>ONMR法および^1H磁場勾配NMR法を利用して広い温度範囲で解析した。その結果、リゾチームと相互作用している水は2種類存在し、ひとつはタンパク質内部で運動性が束縛された水分子、もう一つはタンパク質表面と外部で速い交換をしている水分子であることがわかった。また、温度を低温に下げていくと内部の水分子の量が減少し、外部の表面と外部で速い交換をしている水分子の量が増加した。この結果、低温になることによりタンパク質のアミノ酸残基同士の水素結合が強くなり水分子が外に押し出されることがわかった。 以上のような手法を用い、高分子及びタンパク質と相互作用している水の構造およびダイナミックスを解明でき、高分子-水相互作用の解析にNMR法を用いた方法論が有用であることをが明らかになった。
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