研究概要 |
船舶や海洋構造物において火災が起きた場合に煙制御を行うためには火災伝播現象と煙拡散状態を把握する必要がある。この問題の特徴としては,火災室は一般に複雑な形状と境界を持つ空間であり,空間内に高温熱源があるため温度差が非常に大きく,火災による煙の流動は乱流状態になることである。これに適した数値計算方法の開発が本研究の目的である。11年度には主に熱対流の数値計算に大温度差による空気圧縮性の影響を考慮した研究を行ったが,12年度では,船舶火災安全設計において防火の方策を立てる上で極めて重要である火災時の乱流熱拡散による区画内温度の推移を予測するために,3次元の乱流熱対流解析プログラムを作成し,これにより数値シミュレーションを行い,以下の成果が得られた。 (1)乱流モデルとしては強い非定常性を持つ問題に適する,複雑な流場でも対応しやすい空間的な平均操作によって得られるSGS応力モデルを用い,乱流熱対流に対する数値計算の有効性について調べた。 (2)家具などが配置された船室のように複雑な境界条件を持つ空間内に火災が発生した場合について熱対流に対する3次元数値シミュレーションを行い,流速分布および温度分布の計算値を実大船室火災実験の計測結果と比較して,本研究で開発した数値計算法の妥当性を確めた。
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