研究概要 |
候補遺伝子イネHd6とコムギVrn-A1の異同を以下の実験で実証した(Theoretical and Applied Geneticsに投稿中)。 1)イネの感光性遺伝子Hd6のホモログであるCasein Kinase IIα遺伝子(CKIIα)をコムギcDNAライブラリーからクローニングし,構造決定した。コムギCKIIα(tck2a:GenBank accession number AB052133)のORFは全長999bpからなり333のアミノ酸配列を推定した。これまでデータベース上で公開されているアラビドプシスのCKIIαとアミノ酸レベルで90.4%のホモロジーが認められた。また,ATP-binding siteとセリン/スレオニンプロテインキナーゼ活性部位は,ヒト等との間にも高い保存性が認められた。 2)tck2aをプローブとしてコムギゲノムのサザンハイブリダイゼーションから,ゲノム中のコピー数と座乗染色体を同定した。少なくともABDの各ゲノム中に複数のコピーが推定された。このうち異数体を利用することで5A,5B,5D染色体からなる第5同祖群染色体上に1コピーずつ座乗することを特定した。 3)tck2aの5A染色体上の座乗位置をRFLPマッピングにより同定した。tck2aは,Vrn-A1と1.1cMで連鎖する別の遺伝子であった。 4)マーカー数とマッピング集団の数を増やして,Vrn-A1のmap-based cloningに向けて精密地図を作成した。Vrn-A1を含む4.5cMの領域に9マーカーの地図(平均マーカー間隔0.6cM)を作成した。 木藤氏(岩手大学)の同定したオオムギで春化応答するESTsをオオムギ染色体連鎖地図上にRFLPマッピングした(Genome誌に投稿中)。コムギ5A染色体上のVrn-A1に対応するオオムギ5H染色体に春化に応答するESTを見出した。
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