研究概要 |
出芽酵母にはAct3p/ARP4の他に9種のアクチン関連タンパク質が存在するが、これらの細胞内局在性を調べる目的で、これらのアクチン関連タンパク質をGFPとの融合タンパク質として細胞内で発現し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、Act3p/ARP4の他に、Arps5p,6p,7p,8p,9pが核内局在性を示すことが確認された。これらのアクチン関連タンパク質の核排出シグナル(NES)をアクチンのNESと比較したところ、核に局在するメンバーのNESは保存性が低いことが示され、アクチンファミリーの細胞内局在性におけるNESの重要性が示唆された。 出芽酵母のアクチン関連タンパク質であるAct3p/ARP4をGSTとの融合タンパク質として大腸菌で発現・精製し、in vitroで再構成したヌクレオソームに対する結合性をゲルシフトアッセイにより調べたところ、Act3p/ARP4がヌクレオソームに結合することが示された。また、Act3p/ARP4に対する抗体を用いてChromatin Immunoprecipitation assayを行い、his4-912δプロモーター領域に対するAct3p/ARP4のin vitroでの結合を確認した。 出芽酵母の核に局在するArp6pのヒトおよびニワトリのホモログと予想されるアクチン関連タンパク質をクローニングし、それぞれhArp6,gArp6と名付けた。その一次構造を決定したところ、ショウジョウバエのヘテロクロマチンに局在することが報告されていたアクチン関連タンパク質と相同性が高いことが見い出され、これらが核内でヘテロクロマチンの形成に関与している可能性が考えられた。gArp6は胚発生の初期に特に発現が高く、胚発生の過程で重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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