研究概要 |
平成11年度には,出芽酵母early Golgiに局在するt-SNAREであるSed5蛋白質にmycタグを連結して免疫沈降法によりearly Golgi画分を特異的に濃縮することに成功した.本年度はlate Golgiに局在するt-SNAREであるTlg2蛋白質にmycタグを連結して同様の方法によりlate Golgi膜画分(Tlg2 vesicle)の精製を試みた.取得されたTlg2 vesicleに存在する蛋白質をまずウエスタンブロッテイングによりSed5 vesicleの蛋白と比較した.ER-Golgi間の膜輸送に関わるv-SNAREであるSec22蛋白質とゴルジ体での蛋白質の糖鎖修飾に関わるMnn9蛋白はSed5 vesicleに多く存在し,Tlg2 vesicleにはほとんど見いだされなかった.それに対してlate Golgiで働くエンドプロテアーゼであるKex2蛋白質はTlg2 vesicleにのみ存在し,late Golgiから出芽した輸送小胞のv-SNAREであるVti1とSft1蛋白質はそのほとんどがTlg2 vesicleに存在した.これらの結果はTlg2 vesicle画分にはlate Golgi膜画分が濃縮されていることを示しており,本研究により出芽酵母のearlyとlate Golgi体画分を簡便に分離精製することが可能になった.さらにまたSed5 vesicleとTlg2 vesicleを大量に調製して存在する蛋白質を2次元電気泳動により分離して両者のプロファイルを比較した.Tlg2 vesicleにのみ存在する蛋白質5種類に注目して,N末プロテインシークエンスにより同定を試みた.うち一つはlate Golgiから液胞へ輸送される蛋白質のレセプターであるVps10/Pep1であった.他の蛋白質についてはTOF-MSによる同定を行っている.
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