研究概要 |
スパイクタンパク質Hの認識におけるリポ多糖重要部分構造の特定 Hタンパク質と大腸菌C株由来のビオチン標識LPSの結合に対する非標識のLPSの競合的な阻害を観測して、種々のLPSの構造と親和性の相関を調べた。大腸菌C株のLPSの親和性を100%として、サルモネラRa(95%),サルモネラRc(15%),大腸菌J5RcP^+(3.2%),大腸菌F583Rd_2(1.3%)と計算された。糖鎖が短くなると親和性が低下し、Hタンパク質はLPSのR-コア糖鎖の非還元末端部分を強く認識する事が判った。 スパイクタンパクGのリポ多糖との相互作用の解析 Gタンパク質とLPSとの相互作用を酵素リンクプレートアッセイで検出したところ、ウイルスの宿主細菌由来のLPSと強く結合し、非宿主のLPSとは結合しないことが判った。Gタンパク質の蛍光強度はLPSと結合することにより減少した。蛍光滴定により大腸菌C株由来のLPSとの解離定数はK_dは0.87±0.08μMと計算され、Hタンパク質に較べて1オーダー結合が強いことが判った。 スパイクタンパク質Hのリポ多糖の脱アシル化誘導体との結合解析 円偏光二色性CDスペクトルによりHタンパク質はαヘリックス構造に富む事が判った。LPSと結合するとCDスペクトルが変化し、蛍光強度が著しく増大した。一方、LPSの脂肪酸を限定分解したO-脱アシルLPSでは弱い蛍光増大が見られたが、脂肪酸を全て切断したO,N-脱アシルLPSでは蛍光強度が減少し、Hタンパク質はLPSの脂質部分と相互作用してコンフォメーション変化を起こすと考えられた。
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