研究課題/領域番号 |
11760106
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
加藤 陽二 姫路工業大学, 環境人間学部, 助手 (30305693)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | カテコール / 付加反応 / ドーパ / タンパク質修飾 / ジチロシン / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
昨年度の検討では、カテコール化合物によるタンパク質修飾は生じるものの、修飾したタンパク質をマウスに免疫したところ抗体の産出は認められず、抗原としては適していないことが明らかとなった。またカテコール-アミン酸付加体の化学的な検出検討では、複数の化合物が見いだされ、低分子物質をハプテンとした抗体作成は困難と考えられた。そこで本年度は免疫化学的検出法の開発の前段階として、タンパク質自身の酸化的な修飾によるカテコール生成とそれに伴う付加的な修飾機構を化学的に明らかにすることにした。 タンパク質を活性酸素産出系である過酸化水素-銅やアスコルビン酸-銅などの金属触媒酸化系(Metal-catalyzed oxidation系)により処理し、チロシン残基の酸化について検討した。酸化反応後、タンパク質を透析し、フェノールおよびメルカプト酢酸入りの塩酸蒸気下で気相酸加水分解を行い、HPLC蛍光分析によりチロシンの変化を検討した。その結果、タンパク質チロシンが酸化修飾を受けて生じると考えられるカテコール構造を有するドーパ(3,4-dihydroxyphenylalaine)の生成が酸化系のすべてにおいて認められた。その生成は、アスコルビン酸系に顕著であった。一方、興味深いことにチロシンの二量体であるジチロシンは過酸化水素-銅系のみでしか生成せず、このことは新たな知見であった。これらのチロシン修飾物の生成機構を詳細に解析したところ、ドーパは酸素がその生成に必須であるのに対し、ジチロシンは酸素の非存在下でも生成した。また、過酸化水素-銅系によるジチロシン生成は「ケージ」反応によると考えられた(加藤ら、投稿中)。 金属触媒酸化系によるタンパク質中のカテコール構造の生成はキノンへの変化を導き、さらにはリジン残基などによる求核攻撃というマイケル付加反応を経由することによりタンパク質の重合を引き起こす可能性が考えられた。また研究過程で、これまでに報告されていない過酸化水素-銅系に特異的なジチロシン産出を見いだした。現在、活性酸素暴露により修飾したタンパク質(チロシン酸化修飾物を有する)をマウスに免疫し、モノクローナル抗体の作製を検討中である。
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