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生物多様性保全機能の最適発揮を導く農業システムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 11760160
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 農業経済学
研究機関高知大学

研究代表者

新保 輝幸  高知大, 人文学部, 助教授 (60274354)

研究期間 (年度) 1999 – 2000
研究課題ステータス 完了 (2000年度)
配分額 *注記
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード生物多様性 / ダイオキシン / 農薬 / 仮想状況評価法 / CVM / 水田 / 1,3,6,8-TCDD / 1,3,7,9-TCDD
研究概要

農業は、生物多様性保全機能を発揮していると考えられるが、農法によっては、農業は生物多様性にダメージを与える。特に、農薬を多用する農法の場合それは顕著である。水田で使われる除草剤に含まれるダイオキシン類が、河川などの水系を汚染しているという研究が明らかになった。ダイオキシン類は、毒性・催奇性が強く、内分泌攪乱物質として生物の生殖異常の原因になる。この点から見ると、水田農業は、生物多様性を減少させる外部不経済を発生していると考えられる。本研究では、このような外部不経済について、仮想状況評価法(CVM)で経済評価を行うために、まずその実態と程度、影響の及ぶ範囲、外部不経済を削減する方途などについて、文献サーベイや専門家へ対するヒアリング等により調査した。その結果、以下のような点が明らかになった。
1.ダイオキシンとの関係で問題になる主要な除草剤は、60〜70年代に多用されたPCP(75年に禁止)とそれ以後多用されたCNP(97年に使用禁止)である。
2.前者は8塩素ダイオキシン類、後者は1,3,6,8-TCDD、1,3,7,9-TCDDなどの4塩素ダイオキシン類を含んでいた。
3.しかし、これらのダイオキシン類は、最強の毒性を持つ2,3,7,8-TCDDの毒性を1として換算した毒性評価ファクター(TEF)では、前者が0.001、後者がほとんど0の毒性を持つに過ぎない。(ちなみに、2,3,7,8はゴミ焼却などに伴い、現在各地で大量に環境中に排出され問題化している。)
4.しかし、ダイオキシンは数多くの異性体を持ち、すべての異性体の毒性が把握されているわけでなく、1,3,6,8、1,3,7,9は日本以外ではほとんど問題になることがないので、その毒性評価研究もほとんどないのが現状である。
5.これらのダイオキシン類は水に溶けにくく、また水田土壌の粘土質と強固に結びつき非常に安定しているので、植物の根から吸収されることはほとんどなく、作物を汚染することはほとんどないし、周辺の環境にもあまり影響を及ぼさない。
6.問題になるのは、土壌ごと河川等へ流出し、河川や沿岸海域を汚染するケースである。現に、瀬戸内海東部などでは、周辺海域の魚介類から水田起源のダイオキシン類が検出されている。
7.しかし、定量的には、濃度的にも、毒性面から言っても、問題になるのはむしろ焼却炉起源の2,3,7,8のようである。
8,ダイオキシンを含む除草剤は現在使用禁止になり、新たに汚染拡大を招く状況ではないが、現に水田に存在するダイオキシンは、非常に安定した形で存在し続け、環境中への拡散と、微生物や紫外線による分解によってその存在量が低減していくのを待つしかない状況である。
9.しかし、実際問題としては、それが人間の健康に及ぼす影響はあまりないのではないかというのが専門家の見解である。

報告書

(1件)
  • 1999 実績報告書

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公開日: 2000-04-01   更新日: 2016-04-21  

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