研究概要 |
植物画像の利用を病理診断に焦点を定め,植物体の情報を欠落なく画像を圧縮するアルゴリズムの検討を行った.この解決方法として,写真画像を必要な部分とそうでない部分に分離し,必要な部分だけを圧縮保存する方法を採用した.これは,1.植物体の診断に必要な情報だけを写真画像から取り出すためにマスキングを行い,2.背景を消去し,3.植物体のみの画像を圧縮保存するという手順である.植物を認識しマスキングを行うためにHSI(hue,saturation,intensity)データに基づくプログラムを作成した.このプログラムは,葉菜類だけではなく果菜類においても利用できるように作成した.さらに既存の各種画像圧縮技術との適応を検討した. 本研究では,ネットワークを利用した植物病理診断のための画像の圧縮方法の検討を行い,HSI法による背景画像の除去とTIFFファイル形式とを組み合せた画像圧縮は,必要な植物体の情報を全く損なわずに高圧縮を実現するのに有効な手法であることがわかった.今回得られた画像について,通信時間を計算するとともに,通信手段の一つであるISDN64回線を使用して通信試験を行ったところ,原画像および背景除去画像の計算上の通信時間はそれぞれ112sec,52secであり,実際の通信時間はそれぞれ170sec,79secとなり背景除去により通信時間を50%程度に削減することができ,ネットワーク負荷の削減,通信コストの大幅な低減が図れると考えられた.
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