研究概要 |
ウマヘルペスウイルス4型(EHV-4)のエンベロープ糖蛋白glycoprotein G(gG)のエピトープ解析 EHV-4gGを用いた疫学調査をこれまでに実施してきたが、EHV-1gGと比較して非常に抗体検出感度が高いことを見出した。我々はこの抗体誘導能の高い領域に注目してエピトープ解析を行い、EHV-4gGの役割を検討した。その結果、EHV-4gGには12アミノ酸残基からなるMKNNPIYSEGSLと11アミノ酸残基からなるMKNNPVYSESLが存在することが示された。これらは、EHV-4の疫学調査のみならず、ウマヘルペスウイルス感染における宿主免疫反応の研究に役立つことが期待される。 EHV-4gG型特異領域に対して誘導されるIgGサブクラスの検討 EHV-1感染の予防、治療を考える上で、EHV-4感染により誘導される免疫を正確に把握する必要がある。今回、EHV-4gGに対するIgGサブクラス抗体の推移を検討した。その結果、EHV-4gGに対するIgGb抗体は持続的で、IgGa抗体は一過性であることが示された。この結果は、両サブクラス抗体を検出することにより、EHV-4の感染時期の推定と、感染既往歴が識別できることが示された。 EHV-4及びネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)に対するDNAワクチンの応用 EHV-4糖蛋白gB,gC,gD,gG遺伝子とFHV-1gB,gC,gD遺伝子を用いてDNAワクチンを作製し、マウス及びネコにおける有用性を検討した結果、EHV-4gBに対するDNAワクチンはマウスに対するEHV-1攻撃を有意に防御し、FHV-1gB,gC,gDに対するDNAワクチンはネコに対するFHV-1攻撃を有意に防御した。この結果、両ヘルペスウイルス感染症に対して糖蛋白は宿主免疫応答の主要な標的となることが示された。
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