研究課題/領域番号 |
11760206
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
内田 和幸 宮崎大学, 農学部, 助手 (10223554)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | βアミロイド症 / 老人斑 / 血管アミロイド症 / イヌ / アルツハイマー病 / 血管アミロイド / βアミロイド / 脳脊髄液 / アミロイド形成促進因子 |
研究概要 |
平成11年度より様々な年齢層のイヌより脳脊髄液および脳組織が収集され、脳脊髄液については、脳組織に対する自己抗体の有無の検討が行われた。ヒトでは、アルツハイマー病患者等の高齢者に神経細胞や神経膠細胞に対する自己抗体が形成され、これらがβアミロイド症の病理発生や老年期痴呆に関与する可能性が指摘されている。しかしながら、イヌでの検索の結果、老齢犬に脳に対する自己抗体が形成されているとの結果は得られず、組織検索により重度の血管アミロイド症や老人斑形成が見られる症例においても、特に自己抗体が検出される傾向は認められなかった。なお、この研究の副産物としてイヌ特有の炎症性疾患である壊死性脳炎罹患症例については、共通して神経膠細胞にたいする自己抗体が検出され、様々な定性により、この抗体が星状膠細胞のグリア繊維性産生タンパク(GFAP)を認識している可能性が高いことが明らかになり既に学術雑誌に公表した(Vet.Pathol.1999.K.Uchida et.al.)。本年度も東京大学ベテリナリーメデイカルセンター等の外部組織の強力を得て、脳脊髄液収集、自己抗体検索を進めたが、結論として加齢あるいはβアミロイド症の有無と脳脊髄液性状あるいは自己抗体の検出率の間に有意な相関関係は認められなかった。 また平成12年度にはイヌを含む各種動物の老人斑についてフラクタル解析が行われ、老人斑の形態が、動物間で極めて異なっており、特にラクダとネコの老人斑については、イヌ、クマ、サルと明確な差異があることを示した。このことは老人斑を形成するコアタンパクであるβアミロイドや、その他の老人斑関連タンパク(アミロイドβ前駆タンパク等)の代謝、もしくは構造的差異が動物種間に存在し、老人斑の形成過程やその形態に影響を及ぼしていると考えられた。この結果についても海外の学術雑誌に公表した。またこの研究では、老人斑内におけるβアミロイドタンパクとその前駆タンパクの位置的関係も検索されたが、老人斑の成熟には、前駆タンパクの局所における代謝が深く関与することを示唆するデータが得られている。
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