研究課題/領域番号 |
11760222
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物資源科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
矢野 勝也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (00283424)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 共生 / 菌根 / 根系 / 土壌ストレス / 難溶性リン / マメ科作物 / リン獲得能 / リン資源 / 根長 |
研究概要 |
一般に、作物によるリン酸肥料利用率は10%以下と低く、そのほとんどは土壌に難溶態として蓄積する。日本はリン資源を100%輸入に頼っており、リン資源の有限性を考慮すれば、土壌に蓄積した難溶性リン酸を作物生産に活用させることが重要となってくる。本研究では、主要な難溶性リン酸(Al-P、Fe-PおよびCa-phytate)を添加したモデル土壌に栽培した数種マメ科作物に菌根菌を接種し、そのリン吸収能および生育反応を比較した。遺伝的に菌根形成能を欠損したルーピンを除いて、ラッカセイ・キマメ・ダイズのリン吸収能は菌の接種で増加し、特に前2者の増加はそれぞれ6倍・10倍と大きかった。次に、ラッカセイとキマメを用いて、上記3種の難溶性リン酸の中でいずれの利用能が菌根形成で向上したのかを調査した。その結果、キマメではいずれの難溶性リン酸添加土壌においても同程度で強い菌根依存性を示した。一方のラッカセイでは、Al-P・Fe-P添加土壌においては強い菌根依存性が認められたが、Ca-phytate添加土壌では菌根菌を接種しなくても十分なリン吸収能を示したために、菌根形成による利用能向上は認められなかった。すなわち、ラッカセイはCa-phytateを利用する能力が特異的に高いことを見出した。菌根形成による難溶性リン酸利用能の向上機構を明らかにするために、根は通過できないが菌糸は通過可能な分画を設けた根箱を用いて実験を行った。分画部分で菌糸のみを物理的に切断するとキマメのAl-P利用能は有意に低下した。しかし、根分泌物が分画を越えて移動しないように、分画に面した土壌に数mmのギャップを与えると、菌糸切断の有無に関わらず利用能は低く抑えられた。これらの結果、菌糸が難溶性リン酸を直接溶解する能力は無視できるものの、根分泌物によって溶出したリン酸イオンを効率よく捕捉して宿主に輸送する実態を明らかにできた。
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