研究概要 |
遺伝性四肢奇形マウス"メロメリア(mem)"は、前年度までの研究により,常染色体劣勢遺伝で四肢遠位の腹側構造が背側化を来たす表現形を示し、四肢形態形成に関わる遺伝子のうち腹側マーカーであるEngrailed-1(En-1)の発現が減少し、背側マーカーであるWnt-7aの発現が背腹境殺を越えて腹側にまで広がっていることがわかっている.さらに国立遺伝学研究所との共同研究で多型解析によるmem遺伝子の染色体マッピングを行い、メロメリアとJF1/Mishimaのバッククロス個体のうちメロメリア発症個体100匹のDNAについて調べ、mem遺伝子は13番染色体末端のマイクロサテライトマーカーD13Mit76とD13Mit131の間に存在する新規遺伝子であって,2番染色体に存在するEn-1とは異なる遺伝子であることを明らかにした。これは,mem遺伝子がEn-1,Wnt-7aを含む四肢形態形成遺伝子の上流で発現をコントロールしていることを示唆している.このためmem遺伝子の位置をさらに詳細に知るために、新たにメロメリア発症個体258匹を得てそのDNAを抽出し、同様に多型解析によるファインマッピングを行ったところ,mem遺伝子はまだ四肢形態形成に関わる遺伝子の存在が知られていない,13番染色体のさらに遠位側に存在することが明らかになった.
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