研究概要 |
MDCK細胞における,硫酸化糖脂質の機能を解析するため,セレブロシドスルホトランスフェラーゼとセラミドガラクトシルトランスフェラーゼのダブルトランスフォーマントを作成し,SM4s(GalCerI3-sulfate)の発現上昇を確認した.この発現株ではプレートに対する接着性の上昇がみられることから,ラミニンなどの基質への接着性の変化を解析中である.また,硫酸化多糖との結合ペプチドモチーフの解析を端緒として,真核生物のタンパクには同一のアミノ酸の繰り返しがみられることを見出し報告した.ショウジョウバエとヒトとの間で保存されているタンパクについても,この反復性がみられることから,遺伝子断片の挿入欠失を伴わずに,こうした反復を生じる機構の存在が示唆された.一方,コドンの第3ポジションの塩基については,(アミノ酸の反復を伴わない)原始的タンパク(大腸菌との相似があるもの)においても,反復性がみられることから,点突然変異そのものにも,例えば周りにCが多いとCに変わりやすいという傾向があることが示唆された.実際,哺乳動物間の多数のアラインメントからもこうした傾向は明らかになった.また,遺伝子配列の反復性と局所的重複の起こりやすさの関連について不明の点が多いため,従来の挿入欠失を扱えなかったモデルと異なり,数値的シミュレーションとマルコフ連鎖モンテカルロ法を利用し一般化した,DNAアラインメント・分子進化解析モデルを作成した.解析の結果,数ntスケールの挿入,欠失の多くのケースで,いわゆるDNAslippageが関与していることが示唆された.
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