CREBのコアクティベーターとして同定されたCBPがc-Mybをはじめとする様々な転写制御因子と結合しそのコアクティベーターとしても機能することが多数報告されている。さらにCBPが形態形成異常を伴う優勢遺伝病のRubinstein-Taybi Syndrome(RTS)の原因遺伝子であり2つの遺伝子のうち1つに変異を生じCBPの量が半分に減少することにより発症することが報告されている。そこで本研究ではCBPを介した遺伝子発現ネットワークの全体像及びCBPの量が半分になった時どのような転写制御因子の活性が優先的に阻害され形態形成異常を生じるのかを明らかにするためにCBP欠損マウスを作製し解析を行った。 CBPホモ欠損マウスを作製し解析を行ったところCBPホモ欠損マウスは発育不全と頭部での神経管閉鎖異常を示した。さらに組織学的な解析を行ったところ頭部や体節の間質細胞数が野生型やヘテロ変異マウスと比較すると明らかに減少していた。またCBPホモ欠損マウスでは胎生12.5日までに特に頭部での出血が認められ致死となることが明らかになった。そのため頭部での血管形成を上皮細胞のマーカーであるCD31やCD34の抗体を用いて免疫組織学的に調べたところ頭部での血管形成が著しく阻害されていることを明らかにした。これらの異常の形成に関わる遺伝子もしくはCBPが発現に関与している遺伝子を突き止める目的でCBP欠損マウスから作製した細胞株やCBP欠損マウスを用いてDifferential Display法やSubtraction法を用いて解析を進めた。これらの方法ではCBPホモ欠損マウスもしくはCBP欠損細胞株において発現が減少しているいくつかの遺伝子を同定することができたがCBP欠損マウスにおける異常との関連は不明である。
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