研究概要 |
Human papillomavirus(HPV)は、80型以上に分類され、子宮頚部で16,18,31,33,型など特定の型が癌の発生に関わっている。従来サザン法では、コンジロームや異形成ではHPVはフリーの状態、がんでは宿主DNAに組込まれているとされていた。前年度までに我々が改良した高感度ISH法での陽性所見でdiffuse pattern(DP)巣はフリーのHPVをoligo-dot pattern(OP)巣は宿主DNAに組込みのある細胞のモノクローナルな増生を意味し、浸潤癌はほとんど全てOPであること、OPを示すIa期の症例は間質への浸潤傾向の強いことを明らかにしたが、この結果を踏まえ今年度は、異形成病変で客観的なHPV感染様式所見の指標を明確にしつつ正確な予後を含めた病理組織所見の確立を目的に、癌研病院婦人科で、初回はCIN IまたはIIで、最終的にCIN IIIに進行した14例をHEとISH標本で組織学的な観察をした。初回標本では、いずれも中層から表層にkoilocytosisが明瞭でDP、基底細胞の核には腫大がある。CIN IIIではkoilocytosisとDPは目立たなくなり多核の出現も減る。HPV16型陽性例のうち、CIN I,IIの基底細胞を含む深層にOP巣が出現し進行と共にそ範囲が拡大した1例と、CIN IIIになりはじめて深層部にOP巣が出現した1例を認めた。OP巣は細胞密度が高く、N/C比が大、核質が濃染した変性のない細胞増生巣で、spindle cellも見られる。CINの進行に伴いある確率で出現するHPV組込み型細胞の増生巣はがん化の最終段階に連がる病変として注目される。
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