研究概要 |
NEDD8はユビキチン(Ub)と高い相同性(80%)を有するタンパク質で,我々は数年前からその生理機能に注目してきた.NEDD8はUbを標的タンパク質に結合させるUbリガーゼの構成因子であるCullinと共有結合し,最近このNEDD8による修飾がUb化に不可欠であることが報告された.我々はNEDD8をbaitにしたyeast two-hybrid screeningを行い,NEDD8に結合する70kDaの新規タンパク質を単離することに成功し,今回の科研費補助をうけて解析を進めた. p70のmRNAはほぼ全臓器で発現しており,精巣では分子量の小さいisoformが強く発現していた.免疫染色ではp70はNEDD8と同様に主に核内に局在していた.p70を培養細胞で過剰発現させると細胞内のNEDD8タンパク質は著明に減少した.この際,mRNAレベルでの変化はみられないことから,NEDD8タンパク質自体を分解していると考えられた.この作用はNEDD8特異的で,UbやUb様タンパク質であるSUMO-1,SUMO-2に対しては全く影響を及ぼさなかった.p70のanti-sensevectorを導入すると(内因性のp70の発現を抑制することで),逆にNEDD8の発現量が増加した.p70に対するポリクローナル抗体を作成し,内因性のp70タンパク質の発現をみると,興味深いことにインターフェロン処理によりp70の発現が著明に亢進することを発見した(論文投稿中) NEDD8で修飾されるUbリガーゼの標的としては,CDKインヒビターであるp27やcyclinなど細胞周期を司る重要な分子が知られている.このことから我々が単離したp70はインターフェロンにより誘導され,NEDD8を介して細胞周期制御に関与している可能性が示唆されたことから,現在さらに解析を進めている.
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