研究概要 |
1.HSP90の細胞増殖、熱ストレス応答における機能をHSP90との会合分子の点から、詳細にする目的でmycタグを付加したHSP90をNIH3T3細胞に遺伝子導入し、以下の知見を得た。 1)サイクリン遺伝子の発現をRNA protection assayにて検討したところcyclinA_2およびcyclinD_3の発現低下がみられた。 2)NIH3T3-HSPは対照と比較して、geldanamycin、doxorubicinによる細胞死の抑制がみられた。 3)NIH3T3-HSPは対照と比較して、熱ストレスに対する耐性の低下がみられた。 4)NIH3T3-HSPにおける免疫沈降法で、導入遺伝子産物とHSF-1の会合を認めた。 5)HSF-1の細胞内局在は、コントロールでみられる熱ショック後核内移行が、NIH3T3-HSPでは抑制された。 2.HSP90と各種抗がん剤との会合をリアルタイム分子間相互作用解析装置BIACORE2000を用いて検討した。 精製されたヒスチジンタグ付加HSP90をNTA tip上に固相化し、抗がん剤とHSP90との会合をBIACORE2000にて検討したところ、doxorubicinが濃度依存性にHSP90と会合することが明らかとなった。 以上の結果を、第89回日本病理学会総会(2000,大阪)、第59回日本癌学会総会(2000,横浜)、第23回日本分子生物学会総会(2000,神戸)、Cold Spring Harbor Laboratory Meeting,"Molecular chaperones & the heat shock response"(2000,New York)にてそれぞれ発表した。 3.HSP90変異体を導入したトランスジェニックマウスを作成し、2ラインを得た。 現在これを解析中である。
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