研究課題/領域番号 |
11770164
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
新倉 昌浩 国立感染症研究所, ウイルス第1部, 研究員 (50212113)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | E型肝炎ウイルス / 経口ワクチン / 粘膜免疫 / ウイルス様粒子 |
研究概要 |
昨年度の研究からE型肝炎様ウイルス粒子(HEV-VLP)を形成するdORF2のC末端には、安定に抗原エピトープを挿入することができることが明らかとなり、12アミノ酸よりなる抗原エピトープを持つキメラVLPが大量に精製できるようになった。本年度はこのキメラVLPの性状と経口投与による免疫効果を検討するとともに、更に長いアミノ酸配列を挿入する可能性についても検討した。 このキメラVLPは電子顕微鏡レベルで抗原エピトープのないHEV-VLPと同様の形態を示した。また、挿入エピトープに対する抗体によってキメラVLPが免疫沈降したことから、C末端に挿入したアミノ酸配列はVLP表面に露出していると考えられた。このキメラVLPを50μgづつ2週間おきに4回経口投与したところ、消化管洗浄液及び血清中に初回接種後2週目から抗原エピトープに対する特異的抗体が認められ、特に消化管洗浄液中には極めて高濃度の抗体が検出された。さらに、これらの抗体のアイソタイプを検討したところ、血清中では初回接種後8週目でもIgMと若干のIgAのみが認められたのに対し、消化管洗浄液中ではIgA、IgG1及びIgMが認められた。これらの結果は、キメラHEV-VLPを経口投与することにより、挿入した抗原エピトープに対する粘膜免疫を誘導できることを示している。これらの成績はJournal of Virologyに投稿中である。 一方、HEV-VLPに挿入可能なアミノ酸の大きさを検討するため、12アミノ酸の抗原エピトープの更にC末端側に15アミノ酸よりなるHIVのV3ループ由来抗原エピトープを付加したところ、計27アミノ酸をC末端に持つキメラVLPが精製できた。この結果は、HEV-VLPは少なくとも2つ以上の抗原エピトープを付加してもVLPを形成できることを示し、その経口投与による強力な粘膜免疫誘導能と相まって将来的に有望な経口粘膜免疫用ビークルであると考えられた。
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