研究概要 |
今年度は"成長期の体格及び骨量評価"と"成長期における「体格と骨の発育」の関連要因の検討(断面研究)"の2つを柱に研究を推進していった。 1.成長期の体格及び骨量評価 学校フィールド(小学校〜大学)の健常学生約1,000人を対象として,体格及び体格組成の各指標(身長,体重,Body mass index,体脂肪率,皮脂厚,waist/hip ratio等)を評価する一方で,乾式踵骨超音波法の骨量測定装置(アロカ社:AOS100)を用いて,骨量測定(超音波伝播速度,超音波減衰係数,音響的骨評価値)を行った。また,3次元的骨評価も行うため,足の大きさ,踵骨幅等の生体情報も非侵襲的に収集した。 2.成長期における「体格と骨の発育」の関連要因の検討(断面研究) (1)対象児童の個人的属性(関連要因)を調査実施。 性,年齢,既往歴,家族歴(高血圧,糖尿病,高脂血症,骨粗鬆症等),食習慣(乳製品,小魚,偏食,ダイエット等),生活習慣(運動・スポーツ活動,テレビ視聴時間等)等の個人の属性を児童の家族に協力を得て,収集・評価した。 (2)「体格と骨の発育」に影響する関連要因の検討 昨年度求めた各体格(組成)指標は,性別年齢階級別の平均値及び標準偏差及びpercentile等により,体格(組成)指標の測定値の標準化を行った上で,痩せ群,適正体格群,肥満群を分類した。昨年度求めた各骨量指標(3次元骨量指標も含む)は,性別年齢階級別の平均値及び標準偏差よりSDI,Z-score^<註)>を算出し,各骨量指標の測定値の標準化を行った。その上で,低骨量群,普通骨量群,高骨量群の分類を行った。以上より,「体格と骨の発育」の群として,<痩せかつ低骨量>群,<適正体格かつ低骨量>群,<適正体格かつ普通〜高骨量>群,<肥満かつ普通〜高骨量>群等に影響する関連要因を解析した。 (註)Z-score=(測定骨量-同性同年齢階級の平均骨量)/同性同年齢階級の骨量の標準偏差χ2検定,Woolf法等による単変量解析を行った。「体格と骨の発育」の各群と各要因(個人的属性)が深く関連する事がわかった。今後,成長期骨量を様々な観点から評価し,最も成長期の骨発育をはじめとする,健康づくりに有用な骨量指標を開発し,さらに検討を深めていく予定である。
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