研究概要 |
1996年に全国7地区の15〜79歳の女性住民を対象に行われた約4,500人の無作為抽出標本調査(JPOS study)のデータをbaselineとし、1999年に実施した約1,300人の追跡調査からfollow-upデータを得た。データは腰椎、大腿骨、橈尺骨の骨密度、体格、筋力、家族歴、既往歴、運動やCa摂取量などの生活習慣要因、および血液と尿中の骨代謝指標である。データの使用や遺伝子解析については96年と99年の2回にわたり対象者から文書による承諾を得た。 1、遺伝子多型の解析 対象者の血液試料より抽出されたゲノムDNAを用いて、ビタミンD受容体遺伝子のエクソン2にあるFok I多型とイントロン8〜エクソン9にあるApa I及びTaq I多型をPCR-RFLP法や対立遺伝子識別アッセイ法により解析した。約1,800人の解析の結果、Allele頻度はそれぞれFok I(F:f=63:37),Apa I(A:a=29:71),Taq I(T:t=89:11)で、従来の報告とほぼ同じであった。Apa IとTaq I多型には強い連鎖不平衡が認められた。 2、遺伝子多型と骨密度との関連 baseline、follow-upに遺伝子型のデータを加えた大規模なデータベースを構築し、遺伝子多型と他の要因との骨密度に対する複合的な影響を解析した。他の要因を調整した骨密度は、遺伝子型による有意な差はなかった。遺伝子型別に生活習慣要因の影響を見ると、Fok I多型ではFFとFf型で牛乳摂取の影響が、Taq I多型ではTtとtt型で運動の影響が骨密度に強く現れた。生活習慣要因の骨密度への影響は遺伝子型によって異なる可能性があり、骨粗鬆症予防には、遺伝要因も考慮したリスク評価行った上で個々人にあった対策をたてることが効果的であると考えられた。 以上の結果の一部はアメリカ骨代謝学会で発表した。
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