研究課題/領域番号 |
11770214
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
溝上 哲也 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (60269074)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | シックビルディング症候群 / 環境タバコ煙暴露 / 産業保健 / 環境タバコ煙 / 職域 / 質問票 |
研究概要 |
多彩な不定愁訴によって特徴づけられるシックビルディング症候群と受動喫煙との関連を、室内で働く勤労者において、疫学的に明らかにすることを主目的とした。初年度には日本語版調査票の開発およびその評価のため、北欧を中心に頻用されているシックビルディング症候群および室内環境についての質問票を翻訳した。質問票の再現性および症状出現の季節変動を検討するため、室内で大半を過ごす事務職員100数名の協力を得て、1999年8月より翌年4月までに計5回、繰り返し調査を実施した。職員3000名を対象にした本調査は、実施が事業所の都合で遅れ、2001年2月末に実施することとなった。この間、過去に実施した同規模の疫学調査データから事務系職員のみを対象にした解析をすすめ、この結果を北欧の研究者とともに討議のうえ、論文作成までを協同ですすめた。これらにより以下の知見が得られた。 1.日本人の勤労者にも、北欧・北欧と同様にシックビルディング症候群に特徴的な症状を多くみとめられる。 2.季節やビルのタイプによって、症状の出現頻度や症状のパターンに特徴がみられる。 3.職場での環境喫煙暴露とシックビルディング症候群とに有意な関連性を認めた。目・鼻・喉の粘膜刺激症状と皮膚症状については量-反応関係を認めた。疲労などの全身症状との関連は明らかでなかった。 4.粘膜刺激症状の多くは、事務室内での喫煙を禁止した職場では、自席で喫煙できるなどの喫煙制限が緩やかな職場と比べ、有意に低下していた。 5.環境喫煙暴露以外にも、性、アレルギーの既往、残業、VDT作業、職場精神的ストレス、睡眠、運動習慣など、職業・生活要因の多くの因子との関連を認めた。 以上より、室内労働者はシックビルディング症候群のリスクをもつこと、受動喫煙はそのリスク要因であること、さらに季節変動とともに多くの職業・生活要因と関連が見られることが明らかとなった。また喫煙対策をすすめた職場では症状が少なかった。これらの関連性が因果関係によるものかどうかについて、客観的指標を取り入れて、介入研究を含む経時的な疫学調査法を用いて明らかにすることが今後の課題である。
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