脳性麻痺児・者の家族132名を対象に入浴介助に関する質問紙調査(15名への聞き取り調査を基に作成)を実施した。調査項目は、(1)介助者の負担(身体症状と負担感)、(2)入浴の各工程の介助方法・工夫点、(3)福祉用具・人的サービスの利用に関してである。脳性麻痺児・者(年齢は21.3±9.1歳、体重34.4±13.0kg、身長145.3±14.6cm)のうち、痙直型四肢麻痺67.5%、アテトーゼ型18.7%、両麻痺5.0%、片麻痺3.8%、失調型2.5%、その他2.5%であった。入浴に全介助を要する者が87.8%、一部・半介助の者が12.2%だった。 介助者(49.8±9.2歳)の身体症状として、腰痛がよくある34.3%、時々ある40.5%、ない25.0%で、移動や肩凝り痛みがよくある48.5%、時々ある31.5%、ない20.0%だった。それらの症状のため53.7%に受診歴があった。腰痛は、移動や車椅子などへの移乗ため抱く動作時に、肩凝りや痛みは、入浴、食事介助、抱いた時などに感じていた。入浴介助で大変なことは、浴槽の出入り55.1%、浴室と居室の移動28.7%と移動・移乗に関することが8割を越えていた。浴槽への出入りの介助方法は、全介助の者の内63.4%が一人で抱いて浴槽を跨いで、22.9%が浴槽の淵に一度座らせるなど浴槽の淵を利用、リフトの利用者は2.9%に過ぎなかった。また、洗体・洗髪の姿勢として要介助者が床に座って40.4%、寝かせた状態13.9%と床上で行っている者が多く、浴槽への移乗の際、介助者の負担を大きくする一要因と推測された。 福祉用具の利用者は少なく、その理由として、かさばりそう、子どもに合うものがない、家族が入浴しにくくなりそう、高価だからが上位を占めていた。一方、身近にリフト使用者がいる者には、将来的に使用したいとする傾向がみられ、脳性麻痺者の障害特性や家族の生活様式に合った用具の開発と共に啓蒙活動の必要性が示唆された。
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