研究課題/領域番号 |
11770228
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 加奈子 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (70288546)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | ethyl acetate / acetic acid / styrene / ethylbenzene / toluene / isopropylbenezene / cryogenic oven trapping / capillary gas chromatography / chloroform / methylene chloride / ethanol / ethyl ether / cyanide / cryogenic oven temperature |
研究概要 |
昨年の研究では、法中毒学分野において重要なクロロホルム・エタノール・シアンなどの揮発性薬毒物につき、低温オーブントラッピング法という新しい揮発性物質捕足法を確立した。この低温オーブントラッピング法は、カラム温度を0℃以下に冷却する事で、ヘッドスペース(HS)法にて生体中から抽出された揮発性薬毒物気体を、ガスクロマトグラフィー(GC)カラム入り口に注入すると直ちに、カラム入り口ヘロスなくトラップできるため、高感度・高分離が得られるものである。今年度の研究では、シンナーの成分の一つである酢酸エチルについて本法を応用し、種々の保存条件下における全血中酢酸エチルの安定性を検討した。その手段として本法を用いて酢酸エチルを検出するとともに、酢酸エチルの分解産物の一つであるエタノールも分析した。 さらに環境化学の分野において工場での曝露による発癌性や、食物容器から食物への混入、シックハウス症候群などで問題となっているスチレンとその関連物質について、本法を用いて全血中から簡便に抽出し、感度良く分析する事が出来た。上記の酢酸エチルとスチレン類についての具体的な研究結果は以下の通りである。 1)保存血中の酢酸エチルの安定性をみる為に、まず酢酸エチルの分解抑制物質と保存温度について検討した。その結果、酢酸エチル分解酵素であるカルボキシエステラーゼ阻害剤であるフッ化ナトリウムの添加・無添加の両群について検討した。保存温度に関しては、室温と4℃保存の両群に関して検討した。これらの組合せ4群につき2週間の保存と分析を試みた。その結果、適量のフッ化ナトリウムの添加をして4℃保存をした場合、酢酸エチルは2週間殆ど分解されないことが判明し、国内英文専門雑誌に発表した。 2)スチレンとその関連物質に関しては、HS抽出条件(塩析効果剤・抽出温度・抽出時間)を予備実験で十分に検討した。分析はリステック社のVolatileキャピラリーカラムを用いたGCで行った。初期温度は0℃〜80℃について検討した結果、20℃の際に感度・分離とも好結果が得られた。さらに本法の抽出効率・再現性などにつき検討した。最後にラットを用いて、クロロホルム麻酔下にてスチレンと関連物質を吸入させ、得られた全血につき本法を用いて分析を試みたところ、良好な結果が得られた。この結果については現在、国際専門誌へ投稿中である。
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