研究課題/領域番号 |
11770235
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
中山 友美 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10295967)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 法医歯科学 / ABO式血液型 / 象牙質 / 免疫組織化学 / セメント芽細胞 / 多形遺伝学 / ABO式血液型物質 / 骨 / 歯牙 / MBA-MB細胞 |
研究概要 |
法医学領域において、歯牙はその保存性の高さから個人識別に有用な資料とされているが、同組織におけるABO式血液型物質の局在はいまだ検討を要する課題として残されていた。申請者はこれまでに、歯牙から検出される型物質が歯髄細胞および象牙芽細胞の細胞膜に由来する事を免疫組織化学的に確認した。しかし、抜歯後数年を経た歯牙から抽出した脂質をTLCで分離し、免疫学的に染色したところ非特異的反応を示した。したがって、陳旧性死体における血液型検査に歯牙を利用しようとするならば、細胞成分を一切取り除いた固有硬組織内に局在する糖蛋白の局在を検討する必要がある。そこで、透析膜様機能を有する破骨細胞様腫瘍細胞を薄切した歯牙片上に撒き、カルシウムを溶出させ、腫瘍細胞と歯牙片との界面部に露出した血液型物質の検出を試みた。また、歯牙の硬組織中、最もタンパク濃度の高い象牙細管内腔面の免疫組織学的検討を研磨標本を用いて行った。しかし、これらの方法によって固有硬組織における型物質の局在を明らかにすることはできなかった。 ところで、近年ABO式血液型遺伝子の多型解析が注目を浴びているが、腐敗の進んだ歯髄においては解析が困難な場合がある。一方、歯根部に存在するセメント質は吸収に対して人体組織中最も高い抵抗性を示す無血管性の組織であり、セメント細胞は栄養供給を拡散に頼っている。そのため、死体におけるセメント細胞は無菌的に変性に陥いる。この事実はセメント細胞のDNAが軟組織におけるそれより分解されにくい条件にある可能性を示唆している。そこで、抜歯後室温にて1年放置した歯牙の歯髄、エナメル質および象牙質を削除し、1%SDS中で1日浸透後、超音波洗浄したセメント質を脱灰してDNAを抽出した。これらの試料でABO遺伝子のExon6を増幅し、その産物を泳動したところ、1年放置された歯牙のセメント細胞からは、PCR産物を安定して得ることができた。今後、抜歯後の年数が長い歯牙を用いて、セメント細胞を試料としたABO遺伝子の多型解析の可能性について検討し、陳旧性死体における有効な血液型検査法を模索していきたい。
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