研究概要 |
本年度はフェノチアジン系、ベンゾジアゼピン系および三環系抗うつ剤の向精神薬類について以下の検討を行った。 1.ガスクロマトグラフィー(GC)による分離条件の検討 GC装置は島津GC-14B(液化炭酸ガス冷却装置付)、データの解析と保存は島津クロマトパックC-R7A(設備備品費により購入)を使用した。各薬剤について、標準品でのGC-FID、GC-NPDおよびGC-SID検出を行ったところ、chlorpromazine,promazine,trimeprazine,methotrimeprazine,promethazine,triflupromazineの6種類のフェノチアジン系薬剤およびimipramine,chlorimipramine,amitriptyline,trimipramineの4種類の三環系抗うつ薬剤ではGC-SIDが最も高い検出感度を示した。medazepam,fludiazepam,diazepam,midazolam,flunitrazepamの5種類のベンゾジアゼピン系薬剤ではGC-NPDが最も高い検出感度を示した。薬剤の分離はフェノチアジン系薬剤および三環系抗うつ剤がDB-1キャピラリーカラム、ベンゾジアゼピン系薬剤ではRtx-5キャピラリーカラムが最適であった。カラムオーブンの初期冷却温度を検討したところ、-10℃〜0℃の範囲で各薬剤がおおむね良好な保持分離を示した。 2.ヘッドスペース法による人体試料からの抽出条件の検討 ヘッドスペース法では、健常人の全血或いは尿(各種薬剤を添加)を7.5ml容量のバイアル瓶に入れ、シリコン製の内蓋で密栓し100℃の加温を施した。40-60分後、バイアル瓶からへッドスペースを1-5ml採取し、GCに注入して検出を行ったところ、各種薬剤が検出された。回収率はフェノチアジン系薬剤および三環系抗うつ剤においては約1-20%、ベンゾジアゼピン系薬剤は約0.1-2%であった。検出限界は添加量でフェノチアジン系薬剤および三環系抗うつ剤が約20-100pg、ベンゾジアゼピン系薬剤は約10-50ngであった。今後、塩類の添加による塩析効果およびサンプルpHの調整その他をさらに検討し、各種薬剤に最適な抽出条件の設定を行う予定である。
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