HIV-1感染症に罹患後も無治療のまま10年以上の経過で免疫能低下が認められないlong-term non-progressor(LNTP)は、厚生省HIV感染者発症予防・治療に関する研究班NH委員会の全国調査から本邦HIV-1感染者の7%とされる。LTNPが成立する宿主側の要因をケモカイン受容体に注目して解明する予定であったが、本邦でCCR5多型性による差異が必ずしも明確でないと報告されたため、同じケモカイン受容体CXCR4の多型性に注目することとした。予備的な検討として末梢血単核細胞より抽出したDNAのCXCR4ゲノム領域をPCR法で増幅して塩基配列を決定する方法を確立した。具体的にはforward primersとしてF544(5'-GGTTGGGTTACTCCAGCAAGTC-3')、F1181(5'-AAGGAGTTTTCTTGACCATGCCTATATA-3')、F2434(5'-CAAACGCGCCAAGTGATAAA-3')、F4313 (5'-TTGTACAGTTTTTATTGCTTGTTGGAT-3')、reverse primersとしてR1458(5'-GTAACTCGCTCCTCCAAGACATCCC-3')、R4320(5'-CTGTACAATATTGGTCAGTC-3')、R4971(5'-TACTACATGCCTTTACCAAGTTACTTAGG-3')、R5141(5'-ACACGACTGCATACCTTTTCTTCTTTATA-3')を作成して、健常ボランティアのCXCR4ゲノム領域における塩基配列を決定した。臨床検体のゲノム解析は院内倫理委員会の審査準備中で、承認後に検討を開始する予定である。
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