研究概要 |
Candida albicansは深在性真菌症の中で最も分離頻度の高い真菌であり、その治療薬であるアゾール系抗真菌薬に対する感受性を決定している分子に関して、研究を行った。われわれが研究に用いたアゾール高度耐性株(Darlington株)では、耐性化の原因としてエルゴステロール合成系酵素の一つである5,6-desaturaseの異常である、と生化学的解析結果から信じられていた。そこで、5,6-desaturase遺伝子をクローニングし、Darlington株が確かに5,6-desaturaseの変異株であることを証明し、その後、野生型の5,6-desaturase遺伝子を導入し活性を回復させた。しかし、感受性は不変であったため、その他の耐性の原因に関して研究を継続した。耐性への関与が明らかにされたものとして、アゾールの標的分子である14α-demethylase(14DM)とefflux機構に関与する膜蛋白が知られている。Darlington株ではefflux機構の関与がないことが既に他のグループから報告されている。そこで今回の研究では、14DMの二つのアミノ酸変異がアゾール耐性に関与していることを新たに証明した。、また、二つの遺伝子座の両方が全く同様の変異を有することも示し、高度耐性化の原因の一つを明らかにした。 一方、5,6-desaturaseのdeletant mutantを作成し、この酵素が一般的な意味で耐性に関与しうるか否かの、証明を現在行っている。
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