研究課題/領域番号 |
11770305
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 康 名古屋大学, 医学部, 助手 (80303650)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | CFTR / Na^+ / K^+ポンプ / Cl^-チャネル / チロシンキナーゼ / Na^+輸送 / フラボノイド誘導体 / テトラサイクリン系抗生物質 / βアドレナリン受容体 / K^+ pump / Cl^- channel / tyrosine kinase / tetracycline / Na^+ transport / isoflavone / flavonoid |
研究概要 |
1.気道上皮、および腺細胞におけるNa^+輸送の制御(Cl^-輸送との関連) 経上皮的Na^+吸収には2段階の過程が不可欠である。即ち、粘膜側からのNa^+流入と血管側Na^+/K^+ポンプによるNa^+排出である。粘膜側のCFTR(cyclicAMP依存性チャネル)は粘膜側のNa^+チャネルを制御することは報告されてきたが、本年度の研究の成果により、ヒト培養気道腺細胞において、Na^+/K^+ポンプへも影響を与えていることが明らかとなった(CFTRを通る陰イオンの透過性がNa^+/K^+ポンプの活性を律速している)。Na^+/K^+ポンプはCl^-輸送の流入段階(Na^+/K^+/Cl^-共輸送体)も制御していることから、CFTRが気道上皮、腺細胞のイオン輸送全般に対し、調節機能を持つものと考えられる。また、培養肺胞上皮細胞においては、(1)cyclicAMPによるCFTPからのCl^-放出(2)細胞の収縮(細胞形状の変化)(3)チロシンキナーゼの活性化、という3段階の反応経路によって、Na^+透過性チャネル(非選択性陽イオンチャネル)の開口確率の増大、および粘膜上皮へのチャネル蛋白のトラフィッキングを誘導することを証明した。また、CFTRを通る陰イオンの透過度がNa^+吸収を制御することを示した。 2.イオントランスポートに影響を与える物質に関する新しい知見 1) テトラサイクリン:テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリン、テトラサイクリン、デメクロサイクリン)は抗菌作用以外に、2価の陽イオン(Mg^<2+>、Ca^<2+>)に対するキレート作用により様々な酵素活性に影響を与えることが示唆されている。培養気道腺細胞に対しては、この抗生物質は粘膜側細胞膜を透過するが、血管側の細胞膜は透過しない。粘膜側細胞膜を透過したテトラサイクリン抗生物質はそのキレート作用によりNa^+/K^+-Mg^<2+>-ATPaseを抑制する。その結果、Na^+輸送は阻害される。 2) また、大豆由来のフラボノイド誘導体のうちイソフラボン構造を持つものはCl^-チャネルを活性化し、フラボン構造を持つものはNa^+/K^+/Cl^-共輸送体を活性化することが証明された。 3)ヒト肺組織に高親和性結合部位を有する三環系抗うつ剤は、自殺時などの過剰服薬により急性呼吸窮迫症候群を引き起こすことが知られているが、その機序としてβアドレナリン受容体と結合するGTP結合蛋白の選択的障害がもっとも考えられた。
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