研究概要 |
末梢血好酸球を2.5%グルタルアルデハイドで固定後,白金ブルーで染色し,低真空走査型電子顕微鏡で観察した.通常の電子顕微鏡観察では試料は乾燥しており,さらに試料の表面に金属を蒸着するため,細胞表面はすでに人工産物となっている.低真空走査型電子顕微鏡は試料室の真空を低くすることにより細胞を含水状態で観察できる. 今回の観察では表面のみでなく,内部の核を透見できた.precollにより好酸球を正比重と低比重に分けると低比重のものは表面の突起の高さが高く,細胞内に空胞形成と考えられる透亮像がみられた.一部の細胞ではしばしば爆発的に膜の一部が隆起していた.細胞径は正比重のものは小さく,低比重のものは大きいものと小さいものがあった.好酸球の膜表面にはIgGレセプター,IgEレセプター,補体レセプターが存在し,低比重好酸球ではレセプター数の増加が認められている.今回の正比重,低比重での表面の差は低比重好酸球のレセプターの増加と活性化,リガンド親和性の増加を反映していると考えられた. 透過電顕による観察では活性化好酸球の形態変化で最も特徴的なのは顆粒の変化で,顆粒の辺縁への移動,顆粒中のcrystalloid coreの消失,顆粒内容の放出像,空胞形成などが報告されている.この顆粒の状態を観察するため,好酸球をpipes bufferを用いた2.5%グルタルアルデハイドで固定後,ペルオキシダーゼ染色を施行中である. 月経周期による変動については未検討となった. これらの結果の一部は第50回日本アレルギー学会総会において発表した.
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