研究概要 |
筋強直性ジストロフィーの責任遺伝子のコードする蛋白であるミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)のC末端に対するポリクローナル抗体に加えN末端に対するポリクローナル抗体を作製・精製した.DMPKcDNAをバキュロウイルスに導入し全長型DMPKを得,これをもちいてウエスタン法により抗体の特異性を確認した.さらに正常ヒト骨格筋をウエスタン法,免疫染色にて検討した.結果,DMPKの分解型(55kDa)として知られていたものは全長型(70kDa)のN末端が切断されたものであることが確認された.また,DMPKのC末端に対する抗体とN末端に対する抗体でヒト骨格筋の免疫染色性に相違はなかった.このことからヒト骨格筋では全長型のDMPKが発現していることが確認された.また,筋強直性ジストロフィー骨格筋では筋小胞体の変性と筋小胞体におけるDMPK蛋白量の減少が免疫電顕を用いて認められた.これらの結果からDMPKが筋強直性ジストロフィーの病態に深く関わっている可能性が示唆された. さらに成人例の筋強直性ジストロフィーに比し(CTG)nリピート数の著明な延長と重症化を特徴とする先天性筋強直性ジストロフィー患者骨格筋でのDMPK蛋白量をウエスタン法で検討した.先天性筋強直性ジストロフィー患者骨格筋ではDMPK蛋白量の増減は認めなかったが,成長発達と共にDMPK蛋白量が変化することを確認した.
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