研究課題/領域番号 |
11770327
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
森田 洋 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262718)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 運動調節 / 経頭蓋磁気刺激 / 痙縮 / 固縮 / パーキンソン病 / H反射 / シナプス前抑制 / 相反性抑制 / 筋固縮 / 寡動 / 皮質脊髄路 / 大脳磁気刺激 / 随意運動 |
研究概要 |
研究は信州大学医学部倫理委員会の承認を得た後、各被験者から説明に基づく同意を得て行われた。 痙縮における中枢性運動制御については特に随意運動開始時の抑制性脊髄反射調節機構に対する中枢制御を検討した。対象は多発性硬化症による対麻痺および片麻痺を呈した患者25名と正常対照23名。ヒラメ筋に対する相反性Ia抑制とシナプス前抑制量をH反射の変化量として、安静時・足関節底屈時および背屈時に記録した。足関節背屈時に正常者ではヒラメ筋に対する相反性抑制量は増加したが、痙縮のある患者では増加しなかった。それに対して底屈時の相反性抑制減少は正常群、患者群で差はなかった。シナプス前抑制は大腿四頭筋からヒラメ筋に対する促通量に対するシナプス前抑制として定量した。正常群、患者群ともに足関節背屈時にシナプス前抑制は増加し、底屈時には減少した。しかし、変化量は正常者に比して患者群で小さかった。これらの異常は痙縮における運動障害の病態を示しており、機能再建法に重要な基礎的情報をもたらした。 固縮については足関節底屈時の運動野の興奮性をヒラメ筋H反射に対する経頭蓋磁気刺激の条件刺激効果として定量した。対象はパーキンソン病患者18名と正常対照9名。正常者では持続的底屈中にはMEPの閾値の減少とともに経頭蓋磁気刺激はヒラメ筋H反射に対して促通の増加をもたらした。しかし、パーキンソン病患者ではMEPの閾値の減少はみられたもの磁気刺激はヒラメ筋H反射に対して抑制効果をもたらした。この異常な抑制は淡蒼球内節破壊術によって消失し、正常者と同様な促通が出現した。これはパーキンソン病では皮質の興奮性の増加が選択的に合目的的に生じず、本来抑制されるべき拮抗筋に対しても促通を生じていることを示している。また、シナプス前抑制は減少しておりその程度は歩行障害の程度と相関していた。これらは固縮による運動障害の病態生理を明らかにした点が特記される。
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