マウスを用いてミクログリアでのケモカイン受容体の発現を検討した。ケモカイン受容体にはいくつもの種類が同定されてきたが、この実験ではHIV感染に重要な役割をしていると考えられるCXCR4およびCCR5について検討をおこなった。in vitroの系において、RT-PCR法によりCXCR4、CCR5はともに定常的に発現がみられた。種々の薬剤やサイトカイン刺激を試み、中でもリポ多糖によりCXCR4の発現が減少し、CCR5はサイトカインの一種であるTNFα、免疫抑制剤であるFK506の投与により、発現が減少した。さらにin vivoの系において、実験的自己免疫性脳脊髄炎を発症させたマウスにおいてこれらのケモカイン受容体の発現を検討した。これらのマウスでは病期によってはケモカイン受容体の発現が亢進する場合がみられた。今後はこの実験的自己免疫性脳脊髄炎などのモデルを用いて、ケモカイン受容体の種々の刺激による動態をさらに検討することが必要である。
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