E-セレクチンは血管内皮細胞に発現する接着因子で急性および慢性炎症において重要な働きをしていることが近年明らかになってきた。我々はすでに白血球がE-セレクチンを介して血管内皮細胞に接着する際に、細胞表面のE-セレクチンが細胞骨格と結合することを示し、E-セレクチンのシグナル伝達への関与の可能性を世界に先駆けて報告した。今回、アデノウイルスベクターシステムを利用してE-セレクチンの過剰発現系を構築し、シグナル伝達機構の詳細を解明した。正常型、細胞内ドメイン欠損型のE-セレクチンを過剰発現させた血管内皮細胞をアイソトープでラベルし、そのリン酸化レベルを調べ、E-セレクチンの細胞内ドメインがリン酸化を受けていることを明らかにした。また、このリン酸化は白血球の血管内皮細胞への接着に伴い脱リン酸化を受けることもわかった。今後はこの脱リン酸化機構をさらに詳細にあきらかにしていく。
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