研究課題/領域番号 |
11770365
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
原 幹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50245495)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 電気的リモデリング / 心房細動 / 光計測法 / 活動電位 / 筋収縮力 / 伝導ブロック / 異方向性伝導特性 / 一方向性伝導ブロック / 加齢 |
研究概要 |
昨年度は、電位感受性色素を用いた光計測法により、心房筋微小領域(3x4mm)における、異方向性伝導特性と伝導ブロック発現様式につき、1)加齢による変化、2)電気的リモデリングによる変化を検討した。 本年度は、まず光計測法を用いて、右心房心外膜面全体の興奮伝播様式を検討した。洞調律時には興奮はsulcus terminalis(ST)の上端付近に最早期興奮部位があり、そこから心房全体に興奮が広がったが、ST方向に速くそれに垂直な方向に遅かった。特に、smooth領域側(SM)に伝導遅延部位が観察された。SM及びrough領域(RM)より、早期刺激を行なったところ、この伝導遅延部位でブロックが観察され、ACh投与下にはこの部位の周りを旋回するリエントリーが観察された。 次に心房活動電位と細胞内Ca処理機構との関連を検討した。心房活動電位は、短い刺激周期から長い活動電位に突然延長すると、1拍目のビートの活動電位持続時間(APD)が延長し、その後5,6拍かけて徐々に短縮した。このAPDの1拍目の延長とその後の短縮は、心房筋の収縮力と同様の経過であった。ライアノディン投与により、これらのAPD、収縮力の変化はともに消失した。このことより、APDの変化は以下の様に説明できると考えられた。短い刺激周期においては、細胞内Ca濃度が増加しているが、CaATPaseによる筋小包体へのCa再吸収への充分な時間がない。刺激周期が突然延長されると、Ca再吸収のための時間が確保されるため、延長後第1拍目のビートの筋小包体からのCa放出量は増大する。放出されたCaは、筋小包体への再吸収とともに、Na-Ca exchangerによりNaと交換で細胞外に出される。この電流は内向きでありAPDが延長する。2拍目以降、細胞内Caは徐々に減少するため、Na-Ca交換電流は減少し、APDも短縮する。電気的リモデリングが起こると、このAPDの変化が増大した。リモデリング心房筋の収縮力の変化もAPDの変化に平行して増大することもわかった。このことから、リモデリングの進行によりCa処理機構も修飾され、それがAPDの変化の原因と考えられた。
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