研究課題/領域番号 |
11770369
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
岡崎 史子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10266637)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アポトーシス / 心肥大 / 肥大心退縮 / 心筋リモデリング / 虚血 / 再灌流障害 / bcl-2 / 腎性高血圧 |
研究概要 |
(目的)心肥大あるいは肥大心退縮モデルをラットで作成しアポトーシスが心筋リモデリングとどのように関与するか検討を行った。また虚血・虚血再灌流刺激に対するアポトーシス出現の有無を検討した。 (方法)1.心肥大ラットおよび肥大心退縮ラットの作成:雄性SDラット(120-150g)の1側腎動脈を狭窄(Goldblatt rat)を作成した。また術後5週で狭窄則の腎を摘出し肥大心退縮モデルを作成、1-2週後に心臓を摘出アポトーシス出現の有無を検討した。2.ランゲンドルフ法を用いて摘出心灌流を行い30、60分虚血および30分虚血-60分再灌流を施行しアポトーシス細胞の出現を検討した。 アポトーシスの検出はビオチン標識核抗体法(apodetec,Enzo)による断片化DNAの組織学的方法とDNAラダーにより行った。 (結果)1.心肥大、肥大心退縮モデルでの検討:アポトーシスの出現は術後早期の血圧上昇期にはほとんど認められず、術後3週以後の心肥大期に認められた。アポトーシス細胞は心筋細胞、非心筋細胞の両者に認められ、特に心筋線維化部や心筋錯綜配列部で顕著に認められ出現率は10-15%であった。同時にDNAラダーも検出した。一方、肥大心退縮モデルでは1、2週で急速な心肥大の改善が認められ、特に心筋線維化の消失が顕著に認められた。しかしこれら心筋中ではアポトーシス細胞の出現はほとんど認められなかった。 2.虚血・虚血再灌流モデルでの検討:血流を約10%まで低下させたlow-flow虚血モデルにおいてはアポトーシス細胞の著明な発現は認められなかった。 (考察)アポトーシス細胞の出現が血圧上昇一肥大進行期にはあまり認められず肥大完成期以降に認められた。これは心筋細胞肥大による心肥大にはアポトーシスは関与せず、心筋線維化の亢進や心筋細胞欠落といった心臓の質的変化にアポトーシスが重要な働きをすることが考えられた。さらに今回行った弱い虚血・再灌流傷害ではアポトーシスが出現しなかったことからも心筋細胞への直接的な影響は少ないことが考えられた。昨年度からの本研究課題によりアポトーシスは心筋細胞肥大、虚血細胞障害といった直接的な作用よりも心臓の質的変化すなわち心筋リモデリングの進行に重要な働きをしていることが示唆された。
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