研究概要 |
1)小型加振器の改良:初年度に作成した小型加振器(最大振幅±1mm,連続最大50g重)を用いて,心筋の局所エラスタンスの測定を行った。その結果,犬摘出交叉灌流心を用いて心臓を等容収縮させた条件下では,加えた振動の振幅が平均2.0〜2.5mmで,局所心筋が発生する力は20〜30g重程度であり,50g重までのセンサーで測定可能であった。しかし,麻酔開胸犬を用い心臓を駆出させた条件下では,心室全体の動きによって加振器に加わる力が,200g重以上に達し,測定できないことがあった。 2)二波長同時入力によるリアルタイム計測の可能性:犬摘出交叉灌流心を用いた等容収縮下での実験結果から,70Hzと125Hzの二波長同時入力において,心室への押しつけを約10g重以下にした場合,二つの周波数帯域のオーバーラップがほとんどなく,二つの信号を分離することが容易であった。しかし,同じ条件下で陽性変力作用を有する薬剤を投与した場合,心臓収縮による加振器への押し付けが強くなり、測定できないことがあった。 3)二波長同時入力の時,各周波数の振幅を単一周波数の場合と同じ振幅とした場合、リニアモーターからの熱発生が大きく,そのためにシステムが停止することがあった。 4)今後の課題:(1)加振器の力センサーの飽和を防止するため,測定された力を用いたフィードバックシステムを開発中である。(2)熱発生を最小限に押さえるために、加振器の構造的改良を行う。具体的には、リニアモーターを強制冷却するようなシステムの付加を検討中である。
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