研究概要 |
In vitroでGM-CSF,IL-4,TNF-α等の組み合わせにより、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)患者の白血病細胞から樹状細胞の産生、分化が誘導できることが確認されている。一方骨髄異形成症候群(MDS)の中で小児に特有な病型であるJCML(juvenile chronic myelocytic leukemia)は非常に予後不良であり、致死率の非常に高い疾患である。現在は造血幹細胞移植以外に有効な治療は存在しない。そこで、上述のCMLやAMLと同様にJCMLの細胞から樹状細胞の産生、分化が誘導できれば、同疾患に対する免疫療法の可能性が生じ、非常に有意義と思われた。 今回はまず、JCML患者白血球からの樹状細胞の誘導が可能かを検討した。 すなわち、JCML患者の血液から白血球を分離し、GM-CSF,IL-4,TNF-α等のサイトカインの存在下で10〜14日程度液体培養し、細胞を回収して形態学的、細胞免疫学的に樹状細胞に分化しているか否かを確認した。 これまでのところ、上述の培養により形態的には単核球様のJCML細胞が大型の多くの突起を有する樹状細胞様の細胞に分化し、細胞免疫学的にはフローサイトメトリーで樹状細胞では発現が強くなるとされるCDla等の表面抗原が発現するようになることが確認された。 今後誘導された樹状細胞様の細胞によって自己の細胞障害性T細胞(CTL)の誘導が可能かどうかを検討する予定である。CTLの誘導が確認できればこれまでの結果と合わせてJCMLの細胞から樹状細胞の産生、分化が誘導されると判断できるが、その可能性は高いと思われる。この実験が最終的にはJCMLの免疫療法に結びつくことを目標にしている。
|