研究概要 |
我々は購入したシステムで、これまで87例における心室圧および心室断面積をコンピューターオンラインでモニターし、下大静脈閉塞中の心室圧断面積関係を構築に成功した。これらを以下の項目につき検討し重要な結果を得ることができた。 1)妥当性の評価 a)2時点における超音波AQによる断面積測定は拡張末期(EDA)、収縮末期(ESA)ともによい再現性を示した。(EDA;y=1.1x-0.1,ESA;y=1.0x+0.21,r=0.99,p<0.001)。 b)下大静脈閉塞中の心拍ごとの断面積(SA)の変化は、流速カテーテルで測定した一回拍出量(SV)とよい相関を示し(r=0.89±0.06,slope=0.90±0.11)、面積変化は容積変化を適切に表した。 c)ドブタミン負荷による収縮力増強時に、収縮末期PAR(ESPAR;Ees)がそれを反映して左上方変位し、SW-EDA,dp/dtmax-EDA関係も同様に変化した(p<0.001))。 2)小児心機能、循環特性 各種先天性心疾患における心挙動の特性を、PARをもちいて、安静状態、ペーシングによる心拍数変化時(Force-Frequency Response)、およびβアドレナージック刺激時のPA loopから、ESPAR、EDPARによる収縮性、拡張能の評価、さらにEa-Ees関係を明かにした。同様の評価を、バルーンによる狭窄の解除や、コイル、テバイスによるPDAやASDの閉鎖術前後における、急激な圧容量変化に伴う心機能応答を調べ、各々の疾患の心室特性を明らかにした。 これらの結果は、これまでの簡易的な指標である駆出率やdp/dtmaxでは明らかにされず、既に小児循環器学会や循環器学会、小児心機能研究会で発表した。
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