研究概要 |
われわれは,樹状細胞がさまざまな刺激を受けることで,その活性化,分化度がどのように変化を受けるかに注目した。すなわち,樹状細胞が,T細胞からの(CD40L,LFA-1,CD28),周囲の環境からの刺激(各種サイトカイン,ケモカイン,Flt3L,LPS)などにより,その形態,accessory moleculeの発現性,液性因子の発現性がどのように影響を受けるかを解析することで,それらの変化がどのようにT細胞の活性化にフィードバックされるのかを検討することとした。また逆に免疫抑制を起こす刺激(cyclosporin,FK-506,ステロイド,IL-10,TGF-beta)により,樹状細胞がどのように影響を受けるかを検討することとした。 昨年度までに,樹状細胞の収集法,刺激法,解析法について確立した。本年度はこれらの方法によって得られた結果を基に,in vitroでの樹状細胞のT細胞活性化能の増強効果あるいは抑制効果を解析した。 解析方法としては,各種活性化刺激,抑制化刺激を受けた樹状細胞をallogenic MLRにて解析した。その結果,活性化刺激を受けた樹状細胞では,T細胞活性化能の増強効果が認められた。一方,抑制化刺激を受けた樹状細胞ではT細胞活性化能の増強効果が低下する傾向にあった。この際の細胞表面分子の解析において,各種の刺激により樹状細胞上の接着分子(特にCD82)がupregulateしており,T細胞活性化能においてこれの活性化が重要であることが示唆された。
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