研究概要 |
インターロイキン4、TGFβ刺激により、免疫グロブリンのクラススイッチをひきおこすCH12.LX細胞から高頻度にクラススイッチする細胞株をクローニングするため、限界希釈法を2回試み、さらに数十%高頻度にIgMからIgAにクラススイッチする細胞株を樹立した。この細胞株をインターロイキン4、CD40リガンド、TGFβのさまざまな組み合わせで刺激し、それらのクラススイッチ誘導の経時的変化の観察をするため以下の実験を行った。 1)限界希釈法によるB細胞株のクローニング 2)FACSによるインターロイキン4刺激後の免疫グロブリンIgM,IgE,IgG,IgAの発現の解析 3)FACSによるCD40リガンド、TGFβ、インターロイキン4同時刺激によるクラススイッチ誘導の度合いの検討 4)FACSによる各サイトカインによるクラススイッチ誘導の経時的変化の観察 今回、われわれはCD40リガンド、TGFβ、インターロイキン4を同時に72時間刺激することによって、50%近くも高頻度にIgMからIgAにクラススイッチする細胞株CH12F3細胞株を樹立した。CD40リガンド、TGFβ、インターロイキン4刺激はクラススイッチに相乗的な作用を示した。またこのクラススイッチの刺激はほぼ72時間でプラトーに達することが判明した。このような培養細胞系で高頻度にクラススイッチする細胞株を樹立することは、クラススイッチの免疫学的、生化学的な研究を容易にすることができ、その細胞株の解析を行うことにより、クラススイッチの機構をより明確にすることができ、クラススイッチに異常を持つ高IgE症候群の病態解明に大きな意義があると思う。
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