研究課題/領域番号 |
11770466
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今福 信一 九大, 医学(系)研究科, 助手 (20284490)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | Bowen病 / ヒトパピローマウイルス(HPV) |
研究概要 |
小型腫瘍ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)後期遺伝子発現が皮膚の上皮内癌Bowen病のケラチノサイトの角化におよぼす変化について、平成11年度は(1)外陰部及びその他の部位のBowen病のフォルマリン固定パラフィン包埋標本を集め、切片からデキスパット(R)を用いてDNAを抽出し、粘膜型HPV特異的L1 consensus primerを用いてPCRによりHPVの存在を検索する。同時に切片上でin situ hybridizationを行いHPVを検索する。(2)同じ標本を分化関連の細胞内蛋白(ケラチン(20種類)、インボルクリン、ロリクリン、トランスグルタミナーゼ、フィラグリン、コーニフィン)について免疫組織化学的染色を行い、上記1)のHPVの結果と比較し、HPV陽性腫瘍に於いて特異的に発現する、または発現が抑制される細胞内蛋白があるかを検討する。(3)上記で用いた切片をさらにウイルス蛋白に対する抗体(HPV E6,E1^E4,L1など)で二重染色し、ウイルス蛋白との局在の一致があるかを検討する、という三つの目標を立てた。 HPVゲノムは外陰部Bowen病の皮膚から5/21で検出されたが、外陰部以外のBowen病からは検出されなかった。また、DNAを抽出して行ったPCRでも結果は同じであった。陽性サンプルのin situ hybridization法ではウイルスゲノムは有棘層上層になるほど増数しており、腫瘍化していてもウイルスゲノムはepisomeの状態で、複製能が保存されていることが判明した。また、免疫学的にウイルス陽性の腫瘍においては表皮の抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞が有意に増加していた。これはBowen病が時に自然消褪することのある粘膜内癌であることと関連があると考えられた。(2)次に陽性であったサンプルに対し角化関連蛋白で染色を行ったが、現在までの検討症例数では、ウイルスゲノムの増殖の契機となる細胞内蛋白ははっきりしていない。(3)ウイルス蛋白の染色では使用可能な抗体がウイルス型が限られること、など制限があることがわかった。HPV-16の初期遺伝子E6に関してはHPV陽性のサンプルにおいても検出されず、これらの発癌に関する初期遺伝子群はBowen病のような粘膜内癌においてはあまり重要な働きをしていない可能性も考えられるが、活性を併せて測定するなどのほかの検証方法も必要であると考えられた。
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