今回の研究目的は根治的放射線治療を試行する頭頸部癌の刺入測定が可能である原発巣、頸部リンパ節において、治療前に腫瘍及び正常粘膜内腫瘍酸素分圧を測定し、局所制御率における予後因子としての意義を検討することである。 平成11年度は電極校正装置の故障等により開始が遅れたため現時点までの計測は10例程度にとどまっている。観察期間は短いが、現時点での局所制御が可能であった症例の平均腫瘍内酸素分圧は40mmHg(範囲:15-80)であり、局所制御ができなかった症例の平均腫瘍内酸素分圧は10mm(範囲:3-25)であった。症例数が少ないために有意差はでていないが、局所制御率が可能であった症例のほうが平均腫瘍内酸素分圧は高かった。 以上より現時点での計測はまだ少ないが予想された結果を示しており、頭頸部癌根治的放射線治療患者における腫瘍内酸素分圧は、予後因子としての意義があると推測される。さらに症例数を増やして検討を続行していく予定である。また他部位癌においても有用であると考えられるため測定、分析の検討も考慮している。
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