研究概要 |
我々は21番染色体完全決定の一翼を担って34Mbのシーケンスを完成させ、コンピュータ解析により225個の遺伝子を発見した(Nature 405:311-319(2000))。 躁鬱病の原因遺伝子がマップされている21q22.3上のマーカーMXI-D21S1259-D21S171間からはCBR1,HLCS,ETS2,MX1,CRYAA,PDXK,CSTB,NNP-1,TMEM1,PWP2,PFKLなど26個の既知遺伝子を同定した。またGRAILやGENESCANなどのプログラムを用いたエキソン予測とcDNAクローニングからCBR3,LPAAT,KNP1,KNP3/TRPC7,KNP5,AIRE,TMPRSS3など14個の新規遺伝子を同定しゲノム構造を決定した。 これらの遺伝子のエキソンを増幅するPCRプライマーを作製し、21番染色体上にマップされている疾患の患者家系特異的な変異の検索を行った。その結果、躁鬱病と同様に21q22.3上にマップされていた家族性聴覚障害(DFNB8/10)の原因遺伝子TMPRSS3を特定することができた(Nature Genet.27:59-63(2001))。現在、躁鬱病についても引き続き患者特異的な変異の検索を進めている。 またシーケンスデータから予測された遺伝子の存在を実験的に検定するのとともに、これまででコンピュータ解析で予測できなかった遺伝子の存在についても、比較ゲノム解析、実験によって検証を進め、同領域の遺伝カタログを完成させる予定である。新たに遺伝子が得られれば、それらについても患者特異的変異の検索を行い、躁鬱病原因遺伝子の特定を目指したい。
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