研究概要 |
ヒトのカルシウム結合蛋白であるcalbindin-D28K(CB)およびparvalbumin(PV)cDNAに特異的なアンチセンス・オリゴヌクレオチドプローブを合成し,アルツハイマー型痴呆(ATD)患者および神経疾患や痴呆症状を認めなかった正常対照患者の死後脳の前頭葉皮質に発現する各々のmRNAを検出するためにradioactive in situ hybridization法を施行した。得られたfilm autoradiogramとemulsion autoradiogramより各々のmRNAの発現をイメージアナライザー(MCID;imaging research社,Canada)を用いて定量した。同部位におけるCB mRNAおよびPV mRNAの発現量は,正常対照群に比べてATD群において有意な減少が認められた。ATD脳に生じる神経細胞死やCBおよびPV免疫陽性細胞の減少所見などを併せて考慮すれば,本疾患の病態に神経細胞機能の維持調節にかかわる細胞内カルシウムホメオスタシスの障害が関与している可能性が示唆された。
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