研究課題/領域番号 |
11770597
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
清元 秀泰 香川医科大学, 医学部, 助手 (00304585)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 超音波顕微鏡 / 実験腎炎 / OLETFラット / 抗Thy1腎炎 / 組織内伝播速度(音速) / IgA腎症 / 組織内伝播速度 |
研究概要 |
本研究では、生体病理組織の物理特性を音響学的に測定、評価することが可能な超音波生体組織特性システムを用いて、実験腎炎およびヒトの腎病理組織の形態学的変化を観察、定量化し、このシステムの腎疾患における有用性を検討した。 本システムの構成は、機械走査型超音波顕微鏡装置(HSAM-500S)を主体とし、これに画像描出や解析を行う情報処理装置よりなる。このシステムを用い、抗Thy1腎炎ラットとOLETFラット(糖尿病モデル)の二種のラット実験腎症と、腎生検よって得られたヒト腎組織の観察、定量を行った。 実験腎炎モデルにおいて、超音波顕微鏡による腎組織二次元像(Cモード像)では、腎組織の各部位を明瞭に識別できた。増殖性糸球体腎炎モデルでは、メサンギウム基質の増生部位を確認し、X-Z軸走査により得られる干渉縞のずれ量から求めた超音波組織内伝播速度(音速)の比較では、腎炎群で有意な増大を認めた。糖尿病性腎症モデルでは、光学顕微鏡で有意な変化を認めない初期の段階で音速の増大を認めた。ヒト腎組織の応用では、ネフロン構造の微細部位まで観察でき、従来の光学顕微鏡を用いた各腎疾患での特徴を示唆する所見を得ることができた。更に、各種腎症では糸球体やネフロン部位によって音速が異なっていることが分かった。特にヒトIgA腎症組織での検討では、糸球体線維成分の増大と音速に正の相関を認め、臨床応用が可能であった。 結論として、超音波顕微鏡を用い硬化度の指標となる音速分布を定量した。本システムによって音響特性の差異から組織を観察することができ、また、腎症糸球体では音速の増大が認められた。ヒト腎組織でも定量的な情報を与えうる超音波顕微鏡の有用性が確認され、臨床応用の途につくことが出来た。客観性、定量性、且つ早期病変の検出という見地から、腎病理学において超音波顕微鏡は非常に有用なシステムであるといえる。
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