研究概要 |
動脈管開存症の未熟児に対して、添付文書の用量でインドメサシンの投与方法をランダムに2群に分け超音波ドプラー法による脳血流速度(中大脳動脈、MCA;前大脳動脈、ACA)と血中濃度の経時的測定を試みた。投与方法は10分間での静注群(A)17例、2時間での持続点滴群(B)7例であった。A,B群の在胎は28.9±4.5週、31.2±4.5週、出生体重は1122±335g、1365±521g、投与日齢3±2.2、3.7±5.1で有意差はなかった。また、治療効果については両群の閉鎖率はA群、B群ともに100%であった。脳血流速度の最大減少について、A群では収縮期および拡張期ともにMCAでは投与後30分、ACAでは15分に認められた。B群ではMCAもACAも投与後90分に認められた。最大減少時の脳血流速度を前値を1とした収縮期の減少率で比較すると、MCAにおいてA群0.675±0.141、B群0.876±0.105であり、ACAにおいてA群0.671±0.120、B群0.796±0.130、であった。両部位ともA群で有意に低下した。血中濃度については、高速液体クロマトグラフィーでの検討を種々試みた。以前報告した方法(日本新生児学会雑誌19:410-414,1983)で検討したが、微量で高感度測定が必要なため夾雑物の影響により測定が困難であることが判明した。そのため、文献検索によりカラムで分離後に紫外線照射することでインドメサシンが蛍光物質に変化する方法(J Chromatogr 491:389-396,1989)が見出されたので検討を行った。現有の蛍光検出器で最高の感度をもつRF-5000で測定を試みた。励起波長を358nmとして発光波長を462nmとし、mobile phaseに過酸化水素を加えることでインドメサシンに対する特異性や定量性および夾雑物からの分離は証明できた。しかし現有機器での測定感度は血清1mlで100ng/ml程度であり、実際の測定には血清量を20μl以下にしたいため、さらに感度をあげる必要があることが判明した。
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