研究概要 |
二次性副甲状腺機能亢進症で認められる副甲状腺過形成は腫瘍の特徴であるmonoclonalな増殖によって生じていることが判明している。そこで,既知の遺伝子の中で副甲状腺の腫瘍化に関与する可能性があるmultiple endocrine neoplasia type1(MEN1)遺伝子の異常をスクリーニングした。二次性副甲状腺過形成では,この遺伝子の存在する11q13の欠失を認めた。さらに,二次性副甲状腺機能亢進症の過形成では摘出副甲状腺の検体129腺中、3例において11q13の欠失とSSCP法によりMEN1遺伝子の異常(mobility shift)が認められた。また,その異常の生じている部位を同定するためにcoding-exonをすべてsequenceした結果,MEN1遺伝子の異常は3例ともexon2に認められ、219del18,71del29,331delGと全てがdeletionであった。このことより、二次性の過形成ではexon2が遺伝子異常のhot spotであり,慢性腎不全における副甲状腺過形成の一因であることが示唆された。尚,今までに副甲状腺腺腫ではかなり効率に,この遺伝子の異常があることが報告されているが,今回同時に,今まで検討されていない副甲状腺癌に関しても同様の検討を行ったが,MEN1遺伝子の異常は認められなかった。
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