NODマウスは、ヒトI型糖尿病発症の代表的モデルの一つであり、発症抑制に重要な役割を果たしているIL-4遺伝子発現と糖尿病発症との関連について、NODマウスを用いて研究を進めている。今回糖尿病発症の種々の過程における、IL-4遺伝子の発現をRT-PCR法を用いて継続的に定量したところ、内因性のIL-4遺伝子の発現を生後2週齢雌NODマウスの膵ラ氏島に認めた。膵ラ氏島内でのIL-4の発現は、抗IL-4抗体を用いた組織免疫染色法からも観察する事ができた。さらに発現が膵ラ氏島に限局されていることは、抗インスリン抗体を用いた組織免疫染色、および膵β細胞株であるMIN6N細胞を用いた実験からも証明された。また興味深いことに、膵島炎発症直前と思われる4〜5週齢においては、膵ラ氏島でのIL-4遺伝子発現が著しく低下(約50%以下)していた。この結果から、膵ラ氏島における内因性IL-4遺伝子の発現が、膵β細胞の破壊抑制に深く関与していることを示唆している。
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